進学情報室 こぼれ話 Vol.6

神戸市以西に初めて教室を構えた姫路校。場所は今と違い駅の北側十二所線沿いのビルでした。姫路市は兵庫県で神戸市に次ぐ人口の都市でお城の近くには淳心学院、賢明女子学院という名門私立校があります。阪神間の私立中学校に通っている方もいて、今後中学受験する方が増えていくのだろうとは感じていました。 しかし、特に姫路に土地勘があったわけでもなく新規開校の教室長に指名されるとはつゆ思ってなかったので辞令が出てから大慌てで姫路市の勉強をした覚えがあります。その頃私は神戸三宮の近くに住んでいましたが、まだJR新快速の本数が少なく、通勤にはほとんど乗らなかったように思います。テストのある日曜日の朝は早く出勤しており魚釣りや行商の人たちと一緒になるので知らなかった世界に触れたような気になったものです。私の新規開校室長は2校目でしたが、西方面の私学の先生方から「姫路は難しい所で今まで撤退した塾も多いよ。」と聞いていて、どうしたら生徒が集まるだろうかとあれこれ思案していました。いいアイデアが思い浮かぶはずもなく開校記念無料テストを受けにきてくれた方に片っ端から電話をかけていくのに必死でした。まだ携帯電話普及前ですから今と違って電話口には必ず保護者の方が出てくれる状況だったのは幸いでした。当時姫路には有力な塾がいくつかあって生徒を集めていましたが、その中のある塾の5年生トップクラスの生徒に転塾してもらうことになり、その友達が僕も私もという奇跡のようなできごとがあり何とか5年、4年から生徒数が増えるようになりました。その間他塾の囲い込みも相当なものでしたが、保護者会で日能研のシステムを一生懸命説明して少しずつ保護者の理解を拡げていきました。ある日保護者会で一通り説明をして「何か質問はありませんか。」と聞いたところ、ひとりのお母さんが「先生は若いのにどうしてそんな自信を持ってお話されるのですか。先生とお話したらもう中学校に合格した気になりましたよ。」とおっしゃって「みなさんそう思いません。」と参加していた方に呼び掛けてくれたものだから、その日の入室数はいつもより格段に多かった記憶があります。この時以外、保護者の方から直接そんな風に言ってもらったことはありませんし、その時自分がどう応えたか覚えてないですが、今考えるとこの出来事は塾の仕事を続けていく大きな支えになったのは間違いないと思います。